2010_05_18_[TUE]

ネットと電波媒体がクロスしてくる今日。
【現代芸能】を現象から見える『売れアルゴリズム』と『提供サイド側の思惑』を適当に考察する
シリーズ 【ヨシモト芸人を作ろう!】
アノ芸人事務所の巨人でありアゲアゲシステムを軸とした劇場原理主義である「よしもと」を
少し変わった角度から考察していく。
今回は、「ヨシモト」を創業から現在までの動きを、初期、戦後、 東京吉本あたり「創業者一族と主導権争い」の手前まで
一般的には語られない【興行会社】という側面から切り込んでいき、 そこから「ヨシモト的」なるモノを確認し、また時代ごとのマネジメント側の思惑を幾つか小さく章立てしながら考察を行う。

【現代芸能】を現象から見える『売れアルゴリズム』と『提供サイド側の思惑』を適当に考察する
シリーズ 【ヨシモト芸人を作ろう!】
アノ芸人事務所の巨人でありアゲアゲシステムを軸とした劇場原理主義である「よしもと」を
少し変わった角度から考察していく。
今回は、「ヨシモト」を創業から現在までの動きを、初期、戦後、 東京吉本あたり「創業者一族と主導権争い」の手前まで
一般的には語られない【興行会社】という側面から切り込んでいき、 そこから「ヨシモト的」なるモノを確認し、また時代ごとのマネジメント側の思惑を幾つか小さく章立てしながら考察を行う。
※注意≪いつものように【作ろう!】シリーズでは 、 今回も界隈用語等が、普通に出てきますからコレ界隈に興味が無い人には全く何を書かれてあるか意味不明なエントリーです。≫
-->コレまでの「ヨシモト」関連エントリー
---01見出し---
◆「ヨシモト」スーツを着たテキ屋、興行師軍団
- ▼「小説吉本興業」幕開き
- ▼「ヨシモト」とは何なのか?
- ▼「ヨシモト」が持つ特質は?
- ▼「ヨシモト」資料や関連書籍で、
- ▼「ヨシモト」がナゼ漫才にこだわるか?
- ▼「ヨシモト」がナゼ芸人より上か?
- ▼「ヨシモト」幹部が社員に贈るイズム
- ▼「ヨシモト」幹部しか知らない謎の小箱
◆「ヨシモト」創業と攻撃的経営史
- ▼「ヨシモト」創業前、上方では、
- ▼上方「桂派」VS「三友派」の争いは、
- ▼「ホリエモン」如し「岡田政太郎」参上。
- ▼「ヨシモト」創業、「反対派」と手を組む。
- ▼「ヨシモト」と二代目「岡田」の利権戦争。
- ▼「ヨシモト」初めての関西制覇。
- ▼「ヨシモト」創業の攻撃的経営手法
- ▼「ヨシモト」攻撃的経営史
- ▼漫才師の父「林正之助」と落語
- ▼「ヨシモト」物語を彩る「吉本せい」
◆「ヨシモト」芸と政治
- ▼「ヨシモト」の2010年、政治案件パドリング?
- ▼「ヨシモト」の「ワッハ上方」と政治案件?
- ▼「ヨシモト」の屋台骨を折りかけた政治案件?
- ▼「辻阪」脱税疑獄関連を追った記事や
- ▼「神創り」太古から政治と芸能は切れない。
- ▼「世阿弥」は政治で生かされ政治で死ぬ。
◆「ヨシモト」と闇勢力
- ▼「ヨシモト」とライオン興行師【林正之助】
- ▼「ヨシモト」と浪曲師【広沢虎造】「ツブシ」案件?
- ▼今と違い興行師は興行師であった時代。
- ▼この【広沢虎造】案件での切った張ったは、
- ▼喧嘩上等!【桂春団治】を監禁せよ
- ▼「浪曲」や「落語」と違い【講談】という
- ▼「山春」のように興行師とは違う
- ▼興行とは「顔」で行い体を張る稼業だ。
- ▼現在は興行にも「業界コンプライアンス」が
-----------------------
◆「ヨシモト」スーツを着たテキ屋、興行師軍団
▼「小説吉本興業」幕開き
大阪の難波千日前に「ヨシモト」基幹の劇場がそびえ立っている。
開業は、1987年

創業期から姉の「吉本せい」をオモテの顔とし、自らは実務の興行師として「ヨシモト」を日本一の興行会社に育てた 「林正之助」最後の大仕事である。
≪道具屋筋を抜けると、そこは別天地だった、か≫
林正之助は咳いた。
中折れ帽子をかぶり、ステッキを握っている。
出歩くときは、その二つを忘れなかった。
いつもは千日前を通るコースだが、今日は気分を変えて道具屋筋を歩いた。
秘書は連れず、一人である。
たこ焼きやお好み焼きの鉄板、大から小まで、いくつものサイズが揃う鍋、風呂桶に似たステンレス製の容器、その他、円いのや四角いのや、長いのや短いのや、深いのや浅いのが、一体なにに使うのか、知恵だめしでもされているような道具類が、両側の店先に溢れる。
その 間の狭い通りを抜けた先に、別天地はあった。
≪いや、別天地やない。俺の城やで≫
正之助は再び咳きを洩らした。
目の前の建物は、ほぼでき上がっている。
四階建ての白い外壁が、秋の陽射しを浴びて、まばゆい。
内部の一部はまだ工事中で、作業員達の働く姿が見受けられた。
正面玄関前の路上で立ち止まり、正之助はステッキを体の前に置いた。その上に両手を載せ、ゆっくりと眺め回した。
工事は上の階から仕上げるらしく、四、三、二階はすでに完了し、あとは一階と地下が残っている。
そして、おしまいに正面玄関を片付けて、すべて終了する段取りのようだった。
最初、五十億のつもりの予算が、六十億を超えている。
しかし、これだけのものを建てるのだから、それぐらいは要るだろうと、正之助は納得する。
乗りかかった船である。ここへきて、しみつたれた真似はしたくなかった。
「あんた、立派なものを建てたやないか」
不意に背後で声がした。正之助は振り返った。
「おお、姉さん……」
正之助は眼鏡をずり上げて見直した。そこには着物姿の、姉のせいが立っていた。
着物の柄はどんな色なのか、まだ強い陽光の中で、その輪郭ははかなげに揺らぐ。 だが、面長の、くっきりした目鼻立ちの顔は、間違いなく姉のせいだった。
目元に笑いを浮かべ、正之助と建物を見比べた。
「大したもんやわ」
せいは感嘆した。
「おおきに。姉さんにそう言われると、私もうれしおます」
正之助も思わず顔をほころばせた。
≪「小説吉本興業」:「難波利三」:幕開き≫
もちろん、この時代に「吉本せい」はいない。
林正之助は咳いた。
中折れ帽子をかぶり、ステッキを握っている。
出歩くときは、その二つを忘れなかった。
いつもは千日前を通るコースだが、今日は気分を変えて道具屋筋を歩いた。
秘書は連れず、一人である。
たこ焼きやお好み焼きの鉄板、大から小まで、いくつものサイズが揃う鍋、風呂桶に似たステンレス製の容器、その他、円いのや四角いのや、長いのや短いのや、深いのや浅いのが、一体なにに使うのか、知恵だめしでもされているような道具類が、両側の店先に溢れる。
その 間の狭い通りを抜けた先に、別天地はあった。
≪いや、別天地やない。俺の城やで≫
正之助は再び咳きを洩らした。
目の前の建物は、ほぼでき上がっている。
四階建ての白い外壁が、秋の陽射しを浴びて、まばゆい。
内部の一部はまだ工事中で、作業員達の働く姿が見受けられた。
正面玄関前の路上で立ち止まり、正之助はステッキを体の前に置いた。その上に両手を載せ、ゆっくりと眺め回した。
工事は上の階から仕上げるらしく、四、三、二階はすでに完了し、あとは一階と地下が残っている。
そして、おしまいに正面玄関を片付けて、すべて終了する段取りのようだった。
最初、五十億のつもりの予算が、六十億を超えている。
しかし、これだけのものを建てるのだから、それぐらいは要るだろうと、正之助は納得する。
乗りかかった船である。ここへきて、しみつたれた真似はしたくなかった。
「あんた、立派なものを建てたやないか」
不意に背後で声がした。正之助は振り返った。
「おお、姉さん……」
正之助は眼鏡をずり上げて見直した。そこには着物姿の、姉のせいが立っていた。
着物の柄はどんな色なのか、まだ強い陽光の中で、その輪郭ははかなげに揺らぐ。 だが、面長の、くっきりした目鼻立ちの顔は、間違いなく姉のせいだった。
目元に笑いを浮かべ、正之助と建物を見比べた。
「大したもんやわ」
せいは感嘆した。
「おおきに。姉さんにそう言われると、私もうれしおます」
正之助も思わず顔をほころばせた。
≪「小説吉本興業」:「難波利三」:幕開き≫
「小説吉本興業」では「林正之助」が、まぼろしの中に最愛の姉であり戦友でもあった「吉本せい」を見る。
1991年4月24日
業界や芸人から『ライオン』と恐れられ
そして愛された興行師がこの世を去り、
日本で最も古い興行会社がヒトツの時代を終えて、
今思えば新たな時代の幕開けも、この時から始まっていたのだ。
▼「ヨシモト」とは何なのか?
2012年に創業100年を迎える
日本最強の興行師軍団である。
「ヨシモト」に所属する某芸人はインタビューに答えて曰く
ヨシモトとは?
と、聞かれて 『マネージメントと言う合法的人身売買、テキ屋家業の巨大化したもん。』

さすが名実ともに大阪の漫才師TOPに君臨する芸人さんの言葉は本質を端的にエグる。
言葉のプロである。
実は、多くのこういった興行師家業に通じる職というのは強烈な一代が築いて終り、 又は縮小というパターンがセオリーであり
ソレ系の関連資料を読んでも「吉本興業」のように明治の終りから「現代芸能」の始まりに存在して2012年で創業100年間を迎えるという 「芸人主体」の興行会社というのは稀有だ。
≪厳格に言うと松竹は演劇興行派生なので根本が違う。≫
▼「ヨシモト」が持つ特質は?
その芸人は、続くインタビューに答えて
『勤勉、情熱、刺激、それに狂気ですわ。』
と、つなぐ。
「ヨシモト」とは『狂気』であり『テキ屋家業の巨大化したもん。』と所属の某師匠が表現したように
「ヨシモト」という企業は、この100年間、カタチは変化すれど常に「攻撃的」である。
戦前と戦後の一時期までは、
創業家の「吉本せい」さんが表の顔、
「ライオン」と恐れられた創業筋の「林正之助」さんが本来の興行師として「攻撃的経営」を推し進めている。

≪青山督は、後述する反対派の「岡田政太郎」の腹心≫
現在でも関東の某プロダクションなどが、週刊誌などで「暴力を背景としてマスに影響力を・・」という記事を見かけるが
後述するので、わかると思うが時代が違うと次元が違う。
当然、時代が違うのだが「林正之助」さんが「ヨシモト」の若きライオンとして興行師軍団を率いていた頃は 命と命がグリグリ擦れ違う修羅場が満ちた世界があったようだ。
そして、ソレが「ヨシモト」の歩いてきた道で、喰わねば喰われる『興行師』達の生きる世界でもあった。

多くは、闇から闇に物語というのは流れていくモノだから、本当はオイちゃん達素人が知れるレベルと言うのは限られている。
しかしオモテに出てきている資料だけでも 大小あわせて様々な切った張ったがあり、我々もソコから某芸人が『テキ屋家業の巨大化したもん。』と形容した
「ヨシモト」というものの原点である興行師とは何なのか?
そして、吉本興業が100年企業として生き残った
某芸人さんの指摘した
「ヨシモト」DNAにある『狂気』
を、過去から紐解きながら少しばかり考察し垣間見ていく。
▼「ヨシモト」資料や関連書籍で
まさに「ヨシモト」の歴史が
そのまま近代の芸能史と密接に結びついており
改めて「ヨシモト」という芸能プロダクションの重さに驚く。
たとえば、戦前に「ヨシモト」が東京にも多くの小屋を持ち東西で芸能界を支配し、 初代の通天閣を所有し、プロ野球球団や力道山を初めとするプロレス興行に関与してという、

誰もが知っている事以外にも、
例えば、「ヨシモト」は、現在も発刊を続ける「ヨシモト」芸人の情報を綴った情報誌「マンスリーよしもとPLUS」の前身は、
1935年(昭和10)
吉本PR誌「ヨシモト」の創刊にまで遡る。
≪2年間発行される≫
他にも「ヨシモト」は、昭和12年03月に当時、吉本興業で今でいう構成作家等を束ねていた「文芸部門」が中心として
今のNSCの前身となる
「漫才学校」という【芸人養成所】を作り、

新人発掘と育成を主眼に運営を開始しているのです。≪「秋田実」氏が校長≫
当時の「ヨシモト」を中心とした時代背景を鑑みると、
おそらく NSCと同じような発想で小屋に回す「ヨシモト」子飼いの芸人を作る必要があり
それが
1937年(昭和12)だ。
つまり支那事変の頃なので、如何に業界に対して攻撃的な試みだったのかが読み取れる。
当時は芸人界で絶対であった『徒弟制度』により芸人師匠に若手芸人の主導権を握らせるのが 「ヨシモト」としても経営上プラスにはならない。という
まさしく発想が『席亭』などではなく完全に『興行師』なのである。
残念な事に戦局の活発化で年内に打ち切られることになるのですが、 もちろん、コレが【現代芸能】において、
確認できる日本最古の『芸人養成所』なわけです。
▼「ヨシモト」がナゼ漫才にこだわるか?
コレもまた
【漫才】を作ったのが「ヨシモト」
だからです。
正確には、「萬歳」だったものを【漫才】としてしまったのです。
芸の歴史考察的には、
それまでの音曲の節回しから発祥している奉祝の放浪芸とよばれる古い芸≪諸説ある≫であった「萬歳」 ≪当時から廃れ気味で端芸に位置していた≫という【芸能】を、
「ヨシモト」が改良を加えながら、音を入れない二人だけの喋りだけで完結するカタチに進化させていきます。 ≪現在も時代にそって小さな変化を繰り返している≫
詳しくは、Wikiにあるように近代漫才の始まりと言われる「エンタツ・アチャコ」さんと、ソレまでの「萬歳」を区別するために、

【橋本鐵彦】≪その後、初めて創業筋とは違う幹部で六代目の吉本興業社長となった文芸・宣伝部門の統括責任者≫さんが

毎日、吉本の持つ劇場の香盤や芸人情報を電通経由で新聞社に流していた ニューズレターの走りである
「吉本演藝通信」をつかい
1933年(昭和8)
『吉本は萬歳を漫才と改称する』と打ったのが始まりという。
≪ソレ系の関連書籍によれば当然その界隈から、 なんで昔からある伝統芸を「ヨシモト」が勝手に改称改悪する権利があるのだ。という大きな反響が起こったようである。≫
「ヨシモト」の攻撃的経営姿勢は、昨日今日に始まったわけではないと言うことだ。
今で言うと、
『これからヨシモトは、「落語」というものを「楽後」と改称し、 「楽後」演者は座布団でなく舞台でタップダンスをしながら話をする形式と改めます。以上報告終わり。』
と「ヨシモト」は一方的に従来あった「落語」の形式を破壊し 「楽後」を時代のメインストリームに押し上げるといったような芸当を日本の芸史でやったのだ。
『お笑いのルールは、ヨシモトが作る。』
という今に続く
酋長「ヨシモト」DNAの源泉がココからも見え隠れする。

何でもかんでもが近代演芸史の最初であったり、
日本における芸能史の 変革行動になるという歴史を持っているのが「ヨシモト」であるという点も考察してるとオモロ要因だ。
▼「ヨシモト」がナゼ芸人より上か?
「ヨシモト」と他の芸能事務所と呼ばれる企業の違いでよく書かれたりしているのが マネージャーなど社員と、芸人との関係だ。

どの時代の 「ヨシモト」幹部も書籍やインタビューで、
『マネージャーは芸人の付き人やない、そんな社員はいらん』という趣旨の事を他事務所よりハッキリ答える。
はじめは全く意味が分からなかった。
- よくアイドルの暴露関連本などを読んでいると「マネージャー」を使い走りにしてというような記述もよく出てくるし、
- 演歌歌手の書籍を読んでいると「マネージャー」が付き人を兼任しているような形態が数多くあり、
時代の流れと パターンが体の中に入って繋がってくると、
- 「ヨシモト」と他の芸能事務所との違いが何故起こるか?
- 「ヨシモト」の幹部が言っていた事の本質
「ヨシモト」がナゼ芸人より上か?
答えは
「ヨシモト」のDNAなのだ。
つまり、「ヨシモト」とは、他の芸能事務所のように 『タレント』の付き人やマネージャーから独立した企業ではなく、
「ヨシモト」という企業の本質は、
芸人を小屋で回す『興行屋』
であり、「ヨシモト」社員の本質とは
『興行屋』に雇われた『興行師』
であり、ドテラでなくスーツを着た興行師なのだ。
これで、前回の『【現代芸能】ヨシモト芸人を作ろう!--興行師達の描いた明日は継れココにあったか? 2010_04_24_[SAT]』でも書いたが、
答えは
「ヨシモト」のDNAなのだ。
つまり、「ヨシモト」とは、他の芸能事務所のように 『タレント』の付き人やマネージャーから独立した企業ではなく、
「ヨシモト」という企業の本質は、
芸人を小屋で回す『興行屋』
であり、「ヨシモト」社員の本質とは
『興行屋』に雇われた『興行師』
であり、ドテラでなくスーツを着た興行師なのだ。
オイちゃんが聞きに行った講演でどの役員も、普通の上場企業の幹部とは違う匂いというのか、 言葉の節々から漂っていたのは独特の『興行師臭』だったのだ。
『オマエはなんの会社におんねん。ボケが!興行会社「ヨシモト」に務めとる社員が芸人に使われてどないすんねん。 興行師は芸人を上手いこと使こうてなんぼや!芸人の付き人みたいな社員なんぞいらん』的な香り。
「ヨシモト」の幹部まで登りつめると本人達は匂いが麻痺してしまい気づかないかもしれないが、 言葉はソフトでも何とも言えない圧が雰囲気から漂っていたのはコレであり
コレは 「ヨシモト」という環境が作り出していくのだろうなぁ。
と、改めて思う。
再び『怪芸人』と呼ばれる関西漫才TOPの言葉で、
「ヨシモト」という企業の本質が何かを覗いてみよう。
『けど、吉本の実態なんてマネージメントという名の合法的な人身売買、
テキヤ稼業の巨大化したもんですからね。
そこらへんから涌いてきた芸人を酷使し、上前をゴソッと搾取することにより膨大な 利益を得る優良企業
それがええ意味でも、悪い意味でも吉本の正体なんです。 まさに、ホンマも んの"興行"の会社ですわ』
話し終えてカウスはニャリとした。
この人の正体はいったい何者なのだ?
実に意味深長で含みを持ったカウスの面相が、私の臓腑にじわり、じわりと泌み込んできた。
≪吉本興業の正体 :「増田晶文」:放牧場--巨大化したテキヤ稼業≫
テキヤ稼業の巨大化したもんですからね。
そこらへんから涌いてきた芸人を酷使し、上前をゴソッと搾取することにより膨大な 利益を得る優良企業
それがええ意味でも、悪い意味でも吉本の正体なんです。 まさに、ホンマも んの"興行"の会社ですわ』
話し終えてカウスはニャリとした。
この人の正体はいったい何者なのだ?
実に意味深長で含みを持ったカウスの面相が、私の臓腑にじわり、じわりと泌み込んできた。
≪吉本興業の正体 :「増田晶文」:放牧場--巨大化したテキヤ稼業≫
考察し終わり
自分なりに消化出来たあとに「言葉」を読むと
最初以上に凄みが増して来るから不思議だ。
この魑魅魍魎の棲む世界で
「ヨシモト」の扱う商品は、個性の塊である【芸人】であり
800人以上の支配下タレントを抱え、毎年、1000人ほどの芸人予備軍を迎え入れる
名実ともに最強の『芸人事務所』である
「ヨシモト」で幹部へ、そしてドンの椅子に座るという事は、決して芸人の御機嫌伺い『付き人』などではなく、 現代においても一癖も二癖もある大量の芸人を回して銭にする『興行師の資質』が絶対的に必要となるのだ。
という事の一部を今回の考察シリーズで確認出来るだろうと思う。
▼「ヨシモト」幹部が社員に贈るイズム
先ずは、「ヨシモト」がオモテに出していた情報から「ヨシモト」幹部達が表向きに 求める社員像をつかみましょう。
プロとはなんぞや?
【よしもと流プロの条件】
『☆プロの心意気編』
『☆プロの心意気編』
- 幸せは自分でつかもう
- いつも明るく元気よく
困ったときこそ笑顔をもとう
- 社員は会社の商品見本
よく寝てよく食べよく笑おう
- 昨日まで何をしたかは結果論
今日何をする明日どこへいく
- 大人の態度で子供の発想
好奇心にすなおになろう
- 人と自分の良いところを探せ
お互いの笑顔はそこから生まれる
- はっきり言おうしっかり聞こう
それが本当のチームワーク
- 正しい道筋がよい結果を生む
仕事の構造をしっかり理解しよう
- 行動だけが情熱を表現する
君は自分をプロデュースしているか
- 社会のルールが仕事の基本
君はよしもと以外でも働けるか
- 楽しんで仕事ができてこそのプロ
君は仕事をおもしろくしているか
- 修羅場で君は光っているか
君の価値はここで決まる
次に「ヨシモト」にとって
幹部とはなんぞや?
【よしもと流管理者の条件】
- 自分のことは自分でする
逃げない投げない押しつけない
- 異質なものを尊重する
それが変化のエネルギー
- 成功に部下を導くその笑顔
笑う上司に人財が育つ
- 上司の成長が何よりの手本
昨日より今日、今日よりも明日
- まず動け
背中の雄弁は言葉を凌ぐ
- 部下にチャンスをつくらせて
伸び伸びやらせ、手柄は部下に
- 上司は部下へのサービスマン
部下に利用される上司であろう
- 暖かい気持ちが部下を語らせる
語らぬ理由は上司にもあり
- 部下の気持ちに気遣うよりも
いっしょに走ろう、考えよう
- こうするという意志は予測を覆す
どうなるよりも、どうするを問え
という「中邨秀雄」氏が社長時に執筆された書籍
≪「中邨秀雄」氏は、1991年1月から「ヨシモト」社長、 1999年6月に『林正之助』さんの娘婿の「林裕章」氏に追われるカタチでバトンタッチする≫
この時期の「ヨシモト」幹部たちが描くリーダー論で、当時の社内事情と照らし合わせながら見ると面白い。
でオモテの綺麗な記号化された条件からも『ヨシモト』がどう言う人間を求めているのか何となくは見えてくるが、 ストレートには見えて来ないので
ヤハリ、登場いただくのは、
興行界のライオンこと『林正之助』さんが「ヨシモト」の社員たちに向けた言葉で 全く関係ないオイちゃんも一番好きな有名な一節を引用してみよう。

会社を盛り立てる、そんな欲がありますか。
昔はよう働いたもんです。
今みたいに、日曜日四回も休んで、
その上、
土曜日も休むなどという不料簡な人間は、、
某書籍によれば、「ヨシモト」創業者『吉本せい』さんは1日4時間睡眠で、来る日も来る日も365日働き続けたそうである。
「ヨシモト」イズム全開である。
1986年7月に『林正之助』さんが三度目の「ヨシモト」社長に就任した時の挨拶が
≪「八田竹男」氏からバトンタッチされ1991年4月まで社長職≫
私は86歳です。年は取っても、みなさんより元気です。闘争心と愛社精神を忘れずに
≪「吉本八十年の歩み」 :「吉本興業」:≫
≪「吉本八十年の歩み」 :「吉本興業」:≫
『林正之助』さんのこの短い言葉が「ヨシモト」という企業の本質を完全に言い表している。
『闘争と愛社』
「ヨシモト」の歴史とは裏表全てが、戦いであり「ヨシモト」に逆らう同業他社を食い殺し、
社内でも壮絶な闘争、戦い、戦い、戦い。
調べると100年間、何らかのカタチでズーーーーと戦い続けているのだから。 「ヨシモト」が強いと言われるのは当たり前だ。
酋長「ヨシモト」はコノ100年間、自分達より相手が弱い場合に歯向かってきたら徹底的に叩きのめし、 しかも「ゴメンナサイ」と言っても一度逆らうと酋長「ヨシモト」に貢物的利益をあげないとナカナカ手を緩めてくれない。
それよりも、ある意味「ヨシモト」の強さを確認出来るのが、
「ヨシモト」は数多くの闘争をしてきた『喧嘩のプロ』だから「勝つ」というばかりではなく「負ける」 という事も知っていていて『逃げ足が速く』とにかく負け方が上手い。
兎に角、勝てないと思った相手には甘えた声で懇願し、それでも駄目なら恥や外聞などなく、まさしく脱兎の如く逃げる。
そして知らんぷり。
まさしく 「ワッハ上方」の対応など本当に、したたかな「ヨシモト」らしい上手い負け方の象徴のような決着の案件だった。
≪詳しくは長くなるので書かないが、最初は強気で、知事の人気で負けそうになるや賃料を大幅ディスカウントで猫なで声の懇願戦略に切り替え、なんとか廃止だけは 免れたのだが、その変り身の速さたるや逆に「ヨシモト」の怖さを見た気がした。≫
勝ち方よりも、
個人的には「ヨシモト」の負け方の上手さは、全く住む世界が違うオイちゃん達にも学ぶべき部分は多いなぁ。
と、喧嘩上手の「ヨシモト」イズムには感心させられる。
▼「ヨシモト」幹部しか知らない謎の小箱
そして、この章の最後に
「ヨシモト」最大の秘密と言われる開かずの金庫に仕舞われている「ヨシモト」幹部しか拝むことのできない
『とあるモノ』について語った記事を 引用して終わる。
彼は手を口許にやり、私を招き寄せた。
完全に間合いを外され私は、
つんのめりながら耳を近づけた。
「吉本の会長室には開かずの金庫がおまんねん。ここに何が入ってると思う?これぞ一子相伝の秘伝書みたいなもん、吉本経営の要やねん」
「それ、カウスさんみたことあるんですか」
カウスはわざとらしく周囲を見渡すと、
いっそう小さな声でいった。
「裕章会長に、一回だけみせてもうたことがあるんです。小さな箱にそれは入ってました」
カウスが何を言いたいのか分からず、
私は目を宙に漂わせた。
そも、この寓話めいた展開に
彼はどんな意図を込めるつもりなのだろう。
しかし彼は頓着する様子も見せず、一度もったいぶって口をへ の字に曲げて、それからゆっくりと話した。
「箱を開けたら、何と、林正之助が埋めてたペースメーカーやないですか。
それが休むことなく今も動いてるんです。
よう耳を澄ましたら、
コチコチではなく、 笑わせ、働け、 笑わせ、働け、 笑わせ、働け、 笑わせ……
ってペースメーカーが規則正しく言うとるんですわ」
カウスは再びだんまりを決め込んだ。
私はしばらく呆気にとられていた。
≪吉本興業の正体 :「増田晶文」:ケッタイな会社--開かずの金庫≫
完全に間合いを外され私は、
つんのめりながら耳を近づけた。
「吉本の会長室には開かずの金庫がおまんねん。ここに何が入ってると思う?これぞ一子相伝の秘伝書みたいなもん、吉本経営の要やねん」
「それ、カウスさんみたことあるんですか」
カウスはわざとらしく周囲を見渡すと、
いっそう小さな声でいった。
「裕章会長に、一回だけみせてもうたことがあるんです。小さな箱にそれは入ってました」
カウスが何を言いたいのか分からず、
私は目を宙に漂わせた。
そも、この寓話めいた展開に
彼はどんな意図を込めるつもりなのだろう。
しかし彼は頓着する様子も見せず、一度もったいぶって口をへ の字に曲げて、それからゆっくりと話した。
「箱を開けたら、何と、林正之助が埋めてたペースメーカーやないですか。
それが休むことなく今も動いてるんです。
よう耳を澄ましたら、
コチコチではなく、 笑わせ、働け、 笑わせ、働け、 笑わせ、働け、 笑わせ……
ってペースメーカーが規則正しく言うとるんですわ」
カウスは再びだんまりを決め込んだ。
私はしばらく呆気にとられていた。
≪吉本興業の正体 :「増田晶文」:ケッタイな会社--開かずの金庫≫
「ヨシモト」には初代「春団治」をはじめ、
「ヨシモト」以外ではあまり見られない強烈なクセのある芸人さんが多く登場し芸史を飾る。
「ヨシモト」という会社は、こういう『芸人』と呼ばれる者達が商品なのだ。 そして、そういう『芸人』と呼ばれる商品を上手く使いこなせねば銭にならないという
「芸人使いである興行師」達の棲む会社なのだ。
そして、「ヨシモト」の政にもしばし登場するこの芸人さんが何故「怪芸人」と呼ばれるのか?は、
後述で少し明らかになるが 「ヨシモト」という企業を眺めて
その「怪芸人」と呼ばれる師匠は、答える。
沈黙を破ったのはカウスだ。
「正之助lえげつないオッサンですよ。
成功だけやのうて、失敗もぎようさんして、 それもこれもが吉本興業の土台になってるんです。
これから百年、百五十年と時代に沿って会社も変容していくで しょう。
新手の商売にも手を出すと思います。
その中で吉本は正解だけやのうて、 誤りや矛盾、誤解もみ〜んな一緒くたにして 炊き込んでええ味を出しよるに決まってます」
返す言葉もなく私は口を噤んだままでいた。
「そのうち、正之助って誰や、そんなん知らん、なんて社員が出てくるかもしれません。
けど、それはそれでええんです。
なんぼでも変容していけばええんです。
けど、変わらんもんは、変わらん。
変化のしょうがあれへん。
吉本の社員である以上、ず~っと耳元にペースメーカーの囁きが聞こえてるんですわ」
酔いが、臓腑だけでなく脳髄にまでゆるゆると泌み込み始めた。カウスは、人が善いとも人擦れとも取れる表情でこちらを注視している。
彼のつかみどころのない面相の上に、吉本興業というケッタイな会社に蠢くケッタイな人たちの横顔が重なり、浮かんでは消えていった。
≪吉本興業の正体 :「増田晶文」:ケッタイな会社--開かずの金庫≫
「正之助lえげつないオッサンですよ。
成功だけやのうて、失敗もぎようさんして、 それもこれもが吉本興業の土台になってるんです。
これから百年、百五十年と時代に沿って会社も変容していくで しょう。
新手の商売にも手を出すと思います。
その中で吉本は正解だけやのうて、 誤りや矛盾、誤解もみ〜んな一緒くたにして 炊き込んでええ味を出しよるに決まってます」
返す言葉もなく私は口を噤んだままでいた。
「そのうち、正之助って誰や、そんなん知らん、なんて社員が出てくるかもしれません。
けど、それはそれでええんです。
なんぼでも変容していけばええんです。
けど、変わらんもんは、変わらん。
変化のしょうがあれへん。
吉本の社員である以上、ず~っと耳元にペースメーカーの囁きが聞こえてるんですわ」
酔いが、臓腑だけでなく脳髄にまでゆるゆると泌み込み始めた。カウスは、人が善いとも人擦れとも取れる表情でこちらを注視している。
彼のつかみどころのない面相の上に、吉本興業というケッタイな会社に蠢くケッタイな人たちの横顔が重なり、浮かんでは消えていった。
≪吉本興業の正体 :「増田晶文」:ケッタイな会社--開かずの金庫≫
笑わせ、働け、 笑わせ、働け、笑わせ、働け、笑わせ。
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