2009_05_07_[THU]

『ネット媒体』が『電波媒体』とクロスしてきている現在を【現代芸人】の現象から捉えディスプレイの向こう側から適当に考察する。
奇才【現代芸人】シリーズ。【現象としての鳥居みゆき】に続き第二弾【通常型ウメ研究所--サブ・テキスト】。
【独自の世界観】と【キレのあるズレ】で見るものを笑いの【物悲しさ】世界へいざなう、 もうヒトリの奇才女芸人【ウメ】。
常に玄人ウケする一見しただけでは見抜けない奇才女コント師の放つ練りこまれたハイクオリティ「紙コント」を【通ウメ所】が勝手に分析と適当な考察する。
今回は、 【通常型ウメ】さんの【TV LIFE】版での紙コント『しびれた』 作者よりも詳しき解説エントリー。
【独自の世界観】と【キレのあるズレ】で見るものを笑いの【物悲しさ】世界へいざなう、 もうヒトリの奇才女芸人【ウメ】。
常に玄人ウケする一見しただけでは見抜けない奇才女コント師の放つ練りこまれたハイクオリティ「紙コント」を【通ウメ所】が勝手に分析と適当な考察する。
今回は、 【通常型ウメ】さんの【TV LIFE】版での紙コント『しびれた』 作者よりも詳しき解説エントリー。
ウメの紙コント『しびれた』 で味わう「ちょいサディズム」仕掛け。

【動画へ】


紙コントやります。
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紙コント「しびれた」
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「住職今日はどうもありがとうございました。」
はい。
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あぁ。あー。ちょっとまって。
「何? えっ。ヤギ? ヤギだ。」
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クイズじゃないよ。
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「大丈夫ですか?」
あー。もう。もう触らないで。もー。もー。
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あっ。わかった! はい。牛だ。牛。
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だからクイズじゃないよ。
------◆横筋01<順送り>≪設定はリアルのみ≫
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紙コント「しびれた」
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犬も歩けば棒に、、。
「はい!はい。」
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「はい。あぁ。ちょっと、お手つき。」
------◆横筋02<順送り>≪設定はリアルのみ≫
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紙コント「しびれた」
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「腕立て、よーい」
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いち、にー、
「ちょと膝がついてるよ。」
------◆本筋02<順送り>≪設定はリアル≫ コンタクト落としたの章。
まさかの 「スカシ」笑いオチ。
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紙コント「しびれた」
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あっ、コンタクトが。
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コンタクト落とした。
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ちょっと動かないで。
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あー。ちょっと。本当に動かないでって。
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「あっ。あった! あったよ。」
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どこに?
「うそー。」
もーー。
------◆横筋03<逆送り>≪設定はリアルのみ≫
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紙コント「しびれた」
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本番いきまーす。
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本番、5秒前、4、3、2、
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ちょっと入ってるよ。
------◆本筋01<順送り>≪設定は住職側のリアルと、3コマ目から女性側の軽いパラレル≫
お経をあげ終わった住職の足の「しびれ」でゼスチャークイズの章。
住職の『しびれ』での奇妙な動きを女性が「ゼスチャークイズ」と捉える 「ズレ」ボケを表現した笑い 5コマ目住職の『もー、もー』という呻きが 同音異義の「フリ」になって牛の「ボケ」に繋がる笑い。 住職の『クイズでない』と突っ込まれるのに同じ構図で2度繰り返す 「天丼」オチ。 |

紙コント「しびれた」の構成は 【8ページ24コマ】-->【本筋2本+横筋3本の5章編成】-->【全体01分32秒(ネタ01分26秒)】≪1コマ約3.58秒≫
本筋2本とも設定が『リアル』での【天丼】と【スカシ】でおとしています。逆送りのネタオチは横筋のあるある系。
----【ちょいサディズム】
【ウメ】さんの「紙コント」では【ちょいサディズム】嗜好のキャラが必ずといっていいほど登場します。 もちろん【ズレ】を作る為に【違う世界観】を登場させる装置としての【ちょいサディズム】キャラです。 お笑いのテクニックを簡単に説明しておきます。 この概念は【ウメ】さん研究では必須となりますから初耳の方はバッチリ予習をしておきましょう。
【ちょいサディズム】とは、 『違う世界』に対して『期待されていない行為』を行った『変化の結果』という事になります。「しびれた」本筋01で言うと住職の『違う世界』「しびれた」足に対して「大丈夫ですか?」と言いながら その「しびれた」足を触ると言う『期待されていない行為』行為を行った『変化の結果』である嫌がる姿を 「ゼスチャークイズ」の【天丼】に持っていく【ちょいサディズム】との複合技で落としています。
本筋02で言うと必死でコンタクトレンズを探している『違う世界』に「あっ。あった! あったよ。」 と言って嘘をつくという『期待されていない行為』を 行いホッとした気分を壊すなど『変化の結果』を作り、そのあとの展開を期待させてそのまま終わる「スカシ」というオチです。
図にすると

こういう感じになります。
とうぜんどの程度の『サディズム感』にするかは作品全体の流れから考慮されます。 【ウメ】さんが【鳥居みゆき】さんのような強めの『サディズム感』を持ち込むと アイデンティティの喪失により【みんなのウメ】さんが【ブラックウメ】≪通称:黒ウメ≫さんとなり【ウメ】さんが【通常型ウメ】さんで無くなってしまいますよね?みなさん違いますか? 心臓の横にある【ウメ機関】にも支障をきたしますから鑑賞する方も期待値は節度が求められます。
またコマ数を多くしてフリが長いほどこの【ちょいサディズム】と相性の良い「スカシ」オチは効果を持つ特性があります。 そしてこういう軽いサディズム笑いの作り方を 【ちょいサディズムの笑い】などとよんでいるようです。 では、今度は【ウメ機関】を熟成させる秘密訓練として『本筋02』のオチコマで違うパターンを研究してみましょう。
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◆まずは【「ズレ」ボケ】で落とす場合。
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「あっ。あった! あったよ。」
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![]() |
どこに?
「ほら」 それ500円。 |
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◆次は【「振り出し」ボケ】で落とす場合。
![]() |
「あっ。あった! あったよ。」
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![]() |
どこに?
「ほら、犬が棒にあたる。」 もう、そのカルタ遊び終わったね。 |
それも最後の「もう、そのカルタ遊び終わったね。」という突っ込みで「リアル」も「パラレル」に交差させているという面白さを味わえますね。 ただ、こういう技術は間違っても老人子供主婦の多いステージでは使ってはいけません。
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◆最後は【TV演芸】で落とす場合。
![]() |
「あっ。あった! あったよ。」
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![]() |
どこに?
「なーーんちゃって。」 ・・・。 |
【TV演芸】でウケたいならネタに合わせては絶対駄目ですね。『ネタは無視してTVに合わせる。』つまり、この場合の王道は 絵柄に関係なく「なーーんちゃって。」が大正解となります。

こうですね。
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----紙コント「しびれた」の見所と味わい
高度な鑑賞をすると、【リアル】での『天丼』や『スカシ』というオチ構成よりも 今回は【ウメ】さんの全ての作品に流れる【ちょいサディズム】を感じて欲しいと思います。
貴方に質問です。【ウメ】さんの『独自の世界観』を構築する要素は何でしょう?
その1つは、この 【ちょいサディズム】の妙であり、このさじ加減が作品全体に『哀愁』を作り出し 短調のリズムが生まれ『心がキュと締め付けられる感覚』を視聴者に与えます。
この短調のリズム感に関しては別エントリーで【ウメ】さんの作品が持つ不思議なパワーの秘密を完全に明らかにしますからあわてないでください。 このシリーズを読破した時は貴方の世界にも【ウメ機関】と呼ばれる思考が醸成され【劣化版ウメ】さんが誕生することとなり 「紙コント」が作れるようになります。
まず、今回は【ちょいサディズム】の仕掛けを意識しながら「しびれた」を鑑賞してみましょう。違う世界が見えてくるはずです。
見所と味わいを踏まえた上で-->紙コント「しびれた」動画を見る
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