2007_09_05_[WED]
ロシア関連の書物を読もう。ということで今回は、2時間強で読み終えた。
ガセネッタ&シモネッタ (米原万里)
ロシア語通訳の第一人者であった米原万里女史が国際会議の席上で仕入れたネタを彼女独特のセンスでまとめた≪同業者曰く産業廃棄物をリサイクルでお金儲け≫エッセイ集。もちろんシモネッタ付き。
世界エイズ会議で売春婦を『コマーシャル・セックス・ワーカー』と呼ばせる日本の主催者の話や改めて『日本語が単複同形』である意味合いなどを考えさせられたり、ロシア人に持てる三か条は『頭に銀、ポケットに金、股ぐらに鋼鉄』といろいろ教えてくれるので米原本は普通のエッセイスト本では味わえない切り口を味わえる楽しさがある。
またそのなかで、変わる日本語について劇作家・永井愛氏と対談している章があったのだが

永井 : 結局、いっときはおしゃれな感覚を楽しむのでしょうけど、そういう言葉が増える一方で死語もたくさん生まれていますよね。蟒蛇(うわばみ)はどんどん大きくなっていくのか、それとも、ある一定量になったら大きさは変わらないのか。
米原 : 漢語が入ってきたときには知識人のあいだだけで使われたから地方の方言などは殆ど影響を受けなかったと思うのですが、今はテレビやラジオ放送があるからこの広まり方はすごいですよね。
永井 : それだけに死語になったカタカナ言葉は、その残骸が悲しい(笑)。とくに、最先端だったものほど悲しいですよね。たとえば『ハッスル』なんか。
米原 : そうね。ちょっといまは使えないわね(笑)。
(ガセネッタ・シモネッタ : 米原万里 : 劇作家・永井愛さんとの対談) : 文藝春秋 (2000/12)
ご存知のとおり、女史たちの思惑が外れて、再び日本において『ハッスル』が市民権を得ることになるのですが、こういう本筋とは全く関係ない部分を見つけると純粋な米原ファンとは違う切り口で嬉しくなってしまう私。
まさしく私はウワバミならぬ闇鍋ウワズミ灰汁階層なので『死語』同志達の活躍に心躍ります。ナウなヤングがハッスル!ハッスル!